KAMINOGE COMMUNICATION DESIGN

STUDENT INTERVIEWS

11月3日に開催された「多摩美術大学造形表現学部芸術祭」の
メインイベント「TAMA ART Competition」(通称「タマコン」)。
学内だけでなく、広く一般の方からも作品を公募し、審査、
表彰を行うアート・デザインのコンペティションです。
気になる審査員は菊地敦己さん(ブルーマーク)、吉岡徳仁さん、
佐藤直樹さん(ASYL)、寺井弘典さん(P.I.C.S.)、MOTOKOさんの5名。
後編では審査後となる講評会の様子をレポートします!

審査も終わり、17時。
いよいよ「タマコン」講評会のスタートです。
広い講堂には出展した学生以外にも様々な人が集まりました。
会場に審査員の方々が入場し、審査結果を発表していきます。
まずは今年の応募作品に対する総評です。(前編を読む)


「とにかくやりきっているかどうかを見るようにしました。ただ、作業そのものはやりきっていても、その作品なりデザインなりで伝えるべきことを曖昧にしているせいで、意図がきちんと伝わってこないものもあり、そこはちょっと残念だったかな。逆に、もっとバカバカしくやればいいのにってのもあって、そういうのは抑えたりしないほうがいいんですよ。大人しい時代傾向もあるんですが、だからこそ、こじんまりまとまらないでほしいなあと思いました」(佐藤さん)

「やっぱり全体のテーマ設定が狭かったり、小さかったり…。作るならテーマ設定を高めにして多少のリスクを恐れずにそれを飛び越えるというようなモチベーションで臨んでほしいと思いました」 (寺井さん)

「僕は全体的に気合いを感じないというのが一番イヤだったな。デザインだろうが、アートだろうが基本は気合いだと僕は思います。ほとんどの作品から言い訳が聞こえてくるというか…。自分のやるべきことを見つけてやっていれば、もっと責任を持って作品が出来ると思うんですね。『自分がやりたいから』ではなくて『やるべきなんだ』というところまで意識を持っていって欲しいです」(菊地さん)

「色んなものを見ていないんじゃないかなぁ、とちょっと心配になりました。やっぱりたくさん感動して、たくさんのエネルギーをもらって、もっとたくさん作って欲しいです。全体を通して、作品の大きさという意味ではなく、スケールが小さいですね。生まれ変わるくらいの作品を作って欲しいと思いました」(吉岡さん)

「私も吉岡さんがおっしゃるように、昔に比べて作品がものすごく小さくなったなと思ってしまいました。そして手作業が少なくなっていることに大変危惧してしまう作品が多かったです。体を使わなくなってしまったということは頭も使わなくなってしまうことなんでしょうか。非常に心配になります」(MOTOKOさん)

まずは各審査員のお気に入りの作品の発表です。
受賞者には壇上に上がっていただき、一言コメントをもらいました。

[佐藤直樹賞/CREPE『超音波眼鏡洗浄機シグマ』]

「図画・工作みたいな感じがしましたね。単なる普通の眼鏡洗浄機を大きくしただけで、こんなばかばかしいものをちゃんと最後まで作っていることに好感を持ちました(笑)」(佐藤さん)

↑ 3人組のCREPEさんの作品『超音波眼鏡洗浄機シグマ』

[菊地敦己賞/田辺絵里『Dream×愛』]

「画面の空間が独特だなと思いました。画面に何が描かれているのかを問わず、画面の空間性みたいなものがすごくいいなと思って僕はこれにしました。他の作品も見てみたいですね」(菊地さん)

↑ 「世の中に対して思っていることを八つ当たりするように描いた」という田辺絵里さんの絵画『Dream×愛』

[吉岡徳仁賞/及川奈央『ポテチ』]

「作品としてはすごく真面目で、こういうコンペでは受賞しないようなものなんでしょうね。でも、よく見るとかなり色々考えられています。木で新しいことをやるっていうのは非常に難しく、これを建築にすれば面白くなるんじゃないかとか、僕から見ても新しい何かにつながりそうな作品だと思ったので選びました。基礎的な部分でも造形的で面白いですよね。」(吉岡さん)

↑ ポテトチップみたいな及川奈央さんの椅子『ポテチ』

[寺井弘典賞/浅野ききょう『シーツの旅』]

「技術も能力もないんだから体を張れという風にいつも学生たちに言っているのですが、これはまさに体を張った作品でしたね(笑)。単にシーツを被って動く、という作品だけど、そのシンプルさが気に入りました」(寺井さん)

↑ 浅野ききょうさんの映像作品『シーツの旅』。滝壺にシーツを被って突入している

[MOTOKO賞/伊藤亜希子『ダイヤリー』]

「スカルプアートみたいな感じがして個人的にすごく好きです。コピーがふわふわして、結構笑わさせられたな(笑)。でも作品を作るうえで言葉というのはすごく大切なんですよ。言葉が出てこないと作品も出てこなかったり。作品以上に言葉が良かったというのはありますね」(MOTOKOさん)

↑ 「恐れ入りますが、見たあとは戻してください」と作品一つ一つに丁寧な言葉が書かれていた伊藤亜希子さんの『ダイヤリー』

次は待望の大賞の発表です。
厳選なる審査の結果、今回は残念ながら大賞を設けず、準大賞を2点とすることで決定したことが発表されます。
気になる準大賞2点はこちらの作品です。

[準大賞01/石田直之『海と1K洋室5.5畳』]

「僕はとても好きです。なんか見いってしまう映像でしたね。でもインスタレーションがヘタクソで(笑)。部屋自体を空間として成立させることができれば、もっと良かったと思います」(菊地さん)
「ものを作るには絶対避けて通れないものをキチンとやっていることに感動しました」(佐藤さん)
「この作品はもっとできると思います。やっぱり頭で考えて作っているって感じがしてしまったので、誰の言う事も聞かないものを作った方がいいですよ」(吉岡さん)

↑ カメラを海に浮かべて撮影した月と、自宅の蛍光灯を合成した石田直之さんの映像インスタレーション『海と1K洋室5.5畳』(映像の一部)

[準大賞02/YABESOY『Diver down』]

大竹伸朗さんみたいなダイナミックさを感じましたね。あとやり続けるという姿勢に感動しました」(寺井さん)
「どういう風に展示していくとかが最初から見えていて、少々予定調和な感じを受けました。割と最近の流行っぽい展示の仕方ですよね」(菊地さん)
「私も菊地さんと同意見です。現代の美術を学びすぎたのかな? と思ってしまいました。純粋に自分の好きなものを探してみてはどうですか」
(MOTOKOさん)
「僕は物量好きなので圧倒的なインパクトを感じました」(佐藤さん)
「完成度は高かったのですが、『こんなことしちゃって!』っていうのがなかったですね。学校壊すくらいのパワーがないと人は感動しないんですよ。これからまた新しいものを作って研究していってください」(吉岡さん)

↑ 国語辞典に載っている1万の言葉をドローイングしたYABESOYさんの作品『Diver down』

講評はこれにて終了。
審査員のみなさま、おつかれさまでした!

さて最後に芸術祭実行委員長の野口明日香さん(19)に今回の芸術祭についてお話を伺ってみました。

──芸術祭終わってみてどうでしたか?

「準備が本当に大変でした。芸術祭前日の夜から雨が降ってきて時間をかなりロスしてしまい、当日はバタバタ。でも軌道に乗ってくると自分の仕事が把握できるようになってくるし、自分たちが中心となってやっている芸術祭なので本当に楽しかったなぁとその一言しかないですね。問題も色々な部署の人が手伝ってくれてすぐに解決したりだとか、一致団結して滞りなく終わらせることができたということが一番良かったです」

──上野毛キャンパスに入ってくる人たちへのメッセージをお願いします!

「やっぱり大学に入ってからどのくらい自分が頑張るかだと思います。どこの大学に入ってもできる人はできるし、できない人はできない。自分がここで何をするかが一番大事だと思うんです。上野毛キャンパスで何をするのか、きちんと考えて入学することが一番良いと思いますね。もちろん最初は分からなくてもここはスゴい楽しい場所なので、自分の好きなことをいつか必ず見つけられると思います」

たくさんの人と作品が行き交った芸術祭。
学生のみなさん、早くも来年のイベントが待ち遠しい様子でした!

↑ 芸祭実行委員のみなさん、お疲れさまでした!

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